以前の記事で、後見人とご本人の親族の関係性について書きました。

今日は、後見人と病院などに入院する際の身元保証人についてです。

身元保証人とは?

そもそも身元保証人というのは、それぞれの病院や施設などが定義している言葉です。

ただ一般的に、以下のことが身元保証人には求められることがあります。

・緊急の連絡先

・入院、施設利用料の支払い代行

・医療行為の同意

・入院計画、ケアプランなどの同意

・遺体の引き取り

これは、厚生労働省が発表している、【身元保証等がない方の入院・入所にかかるガイドライン 】に記載してある、身元保証人の一般的な役割についてです。

後見人は身元保証人になれる?

上記のガイドラインによれば、緊急連絡先、入院施設利用料の支払い代行、入院計画ケアプランの同意については、後見人がやるべきこととなっています。

法律上だと成年後見人はご本人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うことです。(民法858条)

入院施設利用料の支払いの代行については、法律に素直に従えば、後見人が行うべきことでしょうが、緊急連絡先と入院計画ケアプランの同意については、後見人が行うべきことか微妙なラインだと私は考えます。

実際、司法書士で構成される「成年後見センター・リーガルサポート」も後見人は身元保証人になれないと言っています。

身寄りのない人は誰が身元保証人に?

では、身寄りない人は誰が身元保証人になるべきなのでしょうか?

上記で示した通り、原則的に後見人に身元保証人になる権限はありません。

病院などは、入院申込書に「身元保証欄」があります。

これは必ず記載しなければいけないのでしょうか?

この疑問を解消できる、厚生労働省医政局医事課長からの通知(平成30年4月27日医政医発0427号第2号)があります。

それによれば、「診療に従事する医師は、診療治療の求があった場合、正当事由がなければこれを拒んではならない」としています。

ここにいう正当事由には、医師の不在、病気等で事実上診療が不可能な場合に限られるとしています。

身元保証人がいないことのみで、医者が患者の入院を拒否することは、医師法第19条1項に抵触するとしています。

身元保証人がいないことのみで、ご本人が適切な医療や介護サービスをうけれないのはおかしなことです。

身元保証人がいなくてお困りの方は、こちらの通知をぜひ頭の片隅にとどめておいてくだいさい。

後見制度のことについても、「認知症対策そうだん窓口」で詳しく書いていますので、そちらもご覧ください。