以前の記事で、任意後見契約の費用について書きました。

今日は、任意後見契約をした場合の法的な効力についてです。

契約しても効力はすぐ生じない

任意後見契約の特徴の1つとして、契約をして契約書を作っただけでは、効力が出ないことです。

契約の効力が生じるのは、ご本人(委任者)が認知症などになり、判断能力が衰えて、家庭裁判所に申し立てをした時です。

なぜすぐに効力が生じないのか?

それは、任意後見契約はご本人の意思を最大限尊重する趣旨がありますので、ご本人の判断能力に問題がない状態では、後見人がサポートする必要がないためです。

ただ、認知症になってからでは、ご本人の意思を確認することは難しくなりますので、そうなる前に契約をすることに意味があるわけです。

認知症になったら・・・

ご本人が認知症になったら、ご本人、配偶者、4親等内親族、任意後見受任者(任意後見人になる予定の人)の請求により、家庭裁判所は任意後見監督人(任意後見人をチェックする人)を選任します。

ご本人以外が請求をする場合には、ご本人の同意がいることになっていますが、ご本人が意思表示できない場合には、不要になります。(任意後見法4条1項)

家庭裁判所は、請求を受けると、調査官がご本人と任意後見受任者と面談をして、任意後見受任者に適性があるかを判断します。

後見人の仕事が始まる

家庭裁判所で、晴れて任意後見監督人が選ばれると任意後見契約が効力を生じて、代理権目録で定めた範囲内で、代理権を行使できるようになります。

そして任意後見人は仕事を開始します。