遺言書には、自筆証書遺言公正証書遺言がありますが、遺言書の中でたびたび出てくる、遺言執行者とは何者か?についてです。

遺言執行者とは?

遺言執行者は、遺言内容の実現に必要な行為を行うため、遺言により指定または家庭裁判所により選任された者をいいます。

そもそも遺言の執行とは何ぞや?という話ですが、遺言には、遺言者の死亡後一定の手続きをしてはじめて効力が生じる事項があります。
*何もしなくても効力が生じるものもあります。

この一定の手続きを行うことを「遺言執行」といいます。

例えば、信託や遺贈、生命保険の保険人受取人の変更などです。

遺言執行者の権限

では遺言執行者は具体的にどのようなことをするのでしょうか?

遺言執行者には、法律で決められた「権利義務」があります。

法律では、「遺言内容の実現のため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為」となっています。

少し、わかりづらいですよね。

遺言内容は、遺言者の方の意思です。

その方の意思を尊重するため、必要と認められる行為で、個々のケースごとに相続財産の状況などを考慮して、遺言執行者の権限は判断されます。

逆に言うと、遺言内容に含まれていない財産については、遺言執行者には権限はないことになります。

遺言執行者の義務(やること)は?

では遺言執行者には義務(やらなければいけないこと)があるのでしょうか?

遺言執行者の義務の主なものには以下のものがあります。

・任務の開始、通知義務

遺言の効力が発生したら(遺言者が死亡)、就任の承諾と任務の開始、相続人への遺言内容の通知をしなければなりません。(民法1007条②)

・財産目録の作成と交付義務

相続財産目録を作成して相続人に交付しなければなりません。(民法1011条)

・善良な管理者の注意義務

これは法律でよく出てくるワードなんです。

具体的に言うと、ある一定の地位についた者(今回のケースだと遺言執行者)が一般的に期待される注意義務です。(民法1012条③)

例えば、遺言執行者になったのが、弁護士や司法書士などの法律専門職の場合には、一般の人が遺言執行者になるのに比べて、求められる注意義務は、高いものとなります。

・報告義務

相続人から要求があった時は、いつでも遺言執行の状況を報告する必要があります。(民法1012条③)

・受取物等の引渡義務

遺言執行する際に、相続人の代わりに金銭を受け取った場合には、相続人に引き渡し、移転する義務があります。(民法1012条③)

遺言書のことについて、さらに詳しく知りたい方は、「遺言書そうだん窓口」で遺言書のことを詳しく書いていますので、そちらもご覧ください。