以前の記事で、民事信託と不動産の関係について書きました。

今日は、遺言信託についてです。

どんな制度?

遺言信託についてはこんな条文があります。

「特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法」(信託法3条2項)

つまり、委託者(財産の所有者)が遺言者として、遺言書のなかで信託契約でいうところの受託者(財産管理等をする人)に対して財産を譲渡等をして管理等をしてもらう内容の遺言書を作成し、信託契約の目的を達成してもらおうという制度です。

通常の信託契約では委託者と受託者の契約ですが、遺言信託は委託者の単独行為の意思表示になります。

効力が出るのは?

通常の信託契約であれば、当事者同士での契約によって信託契約の効力が生じます(信託法4条1項)が遺言信託の場合には、遺言者(委託者)が死亡したときに効力が生じます(信託法4条2項)

信託財産になっている、資産は通常の相続手続きのように相続人に帰属することはありません。

遺言信託の場合には、受託者を指定することができますが、そもそも遺言書は委託者の単独行為ですので受託者の同意なく受託者を遺言書の中で指定出来てしまいます。
(通常は遺言書作成前に受託者に指定する人の了解を得る)

ですので遺言信託の効力が生じても、受託者の同意がないと受託者には受託義務が発生しません。(通常の信託契約であれば、契約成立時に効力が生じる)

そこで遺言信託では、受益者(信託行為によって利益が出た場合に利益を受け取る人)か委託者(遺言者)の相続人が受託者に指定された人に対して、受託者としての地位を引き受けるかどうかを催告することができます。(信託法5条1項)

この催告に対して確答を一定期間内にしなかった場合には、引き受けをしなかったものとみなされます。(信託法5条2項、3項)

太田合同事務所では、生前対策として信託以外にも、後見制度のことについても、「認知症対策そうだん窓口」で詳しく書いていますので、そちらも是非ご覧ください。