以前の記事で、死後事務委任契約で銀行口座の解約手続きができるか?について書きました。

今日は、死後事務委任契約は公正証書によるべきか?についてです。

公正証書でなくても作成できる

まず、死後事務委任契約書は公正証書によらなくても、作成することはできます。

ただ、実際に死後事務委任契約書を使って、手続きをするのはご本人の死亡後のため死後事務委任契約書の真実性を保証する何かしらの証明が必要になります。

その手段の一つが公正証書での契約書の作成のため、出来る限り公正証書での作成をお勧めします。

もちろん公正証書で作成することは義務ではありませんので、通常の個人間の契約書で作成することもできます。

その場合には、委任者が実印と署名をして印鑑証明書を添付したり、契約当事者以外の第三者に立ち会ってもらい契約書にその旨を付記するなどして、別の形で真実性を保証する必要があるでしょう。

任意後見契約とセットの契約?

死後事務委任契約を語るうえで、外せないのが任意後見契約です。

死後事務委任契約は任意後見契約の付随契約と言われています。

任意後見契約は、ご本人の死後は効力がありませんし、遺言書ではカバーしきれない葬儀や納骨、お墓のことなどを死後事務委任契約では、定めていきます。

ですので通常、任意後見契約を結んでいない方は、そもそも死後事務の手続きを行ってくれる人がいますので契約をする必要がなく、死後事務委任契約単体で契約をすることは稀です。

そんな死後事務委任契約ですが公正証書を作成する、公証役場の取り扱いでは、任意後見契約を締結しない限り死後事務委任契約を公正証書として作成しないとなっているようです。
(市民と法118号 2019年 30項、32項)(弁護士 元家裁判事、公証人 大島明先生)

つまり公証役場としては、死後事務委任契約をあくまで任意後見契約の付随契約とみているようです。

ただ死後事務委任契約のみの需要があるということは超高齢化社会の今では、否めないと思います。

一概に死後事務委任契約が任意後見契約に付随していなければいけないとまでは、現状では言えないのかなとも思います。

死後事務委任契約のことについても、「認知症対策そうだん窓口」で詳しく書いていますので、そちらもご覧ください。