以前の記事で、任意後見契約の効力について書きました。

今日は、任意後見契約と公正証書の関係についてです。

公正証書で作成しなければいけない

そもそも任意後見契約書は公正証書で作成することが法律で決まっています。
(任意後見契約に関する法律第3条)

公正証書で作成するということは、公証役場で公証人の審査が入るということですので当然ご本人の意思能力、判断能力に疑いがあれば契約書は作成できません。

契約締結の判断基準になる目安として、以下のことが挙げられています。
(参考文献 『成年後見制度ー法の理論と実務』)

・本人が自分の財産を把握していて、受任者(将来後見人になる予定の人)に説明できること

・財産管理を任せるという意味を本人が理解していること

・財産管理に関する報告書などを読んで理解し、財産や現実の収支を理解できること

本人の判断能力に疑義があったら

もしご本人の判断能力に疑義があったら、公証役場はどう対応するのでしょうか?

公証役場は、ご本人の判断能力に疑義がある場合には、診断書等を契約書の原本とともに保管するそうです。

診断書というのは、お医者さんの診断書のことでご本人の判断能力に疑いの余地がありませんよという証明のためにつけるわけです。

具体的には長谷川式認知症スケールという、判断能力をテストする評価をします。

疑義があれば、公証役場は公正証書の作成を認めないでしょうが、そもそも無理に契約を結ぶようなものではないため、その場合には、法定後見制度の利用を促すべきでしょう。

後見制度のことについても、「認知症対策そうだん窓口」で詳しく書いていますので、そちらもご覧ください。