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以前の記事で、家族信託と口座開設について書きました。
今日は、家族信託が必要ない(適さない)財産について書きます。
そもそも家族信託とはどんな制度なのかはこちらをご覧ください。
信託の対象になる財産は?
信託の必要がない、財産を紹介する前にそもそも、どんな資産が信託契約の対象になり、信託財産になるのでしょうか?
一般的なものとしては、不動産と金銭が有名でしょう。
それ以外には、株式、新株予約権、社債、手形、小切手などがあります。
信託財産が不動産の場合には、受託者に所有権が移転しますので、登記手続きが必要になりますし、金銭の場合には、信託専用の信託口口座というものを別途開設することになります。
信託と登記手続きについては、こちらをご覧ください
家族信託と口座開設についてはこちらをご覧ください。
家族信託が必要ない財産は?
信託財産になりうる、財産には何があるのか、ある程度分かったかと思います。
では逆に、信託財産に適さない(必要性がない)財産は具体的にどんなものがあるのでしょうか?
1つずつ確認していきましょう。
担保付不動産
信託財産を不動産とすること自体には、特に問題はありませんが、金融機関の担保(抵当権や根抵当権)が設定されている場合には、注意が必要です。
主に住宅ローンや事業融資などで金融機関から融資を受け、担保がついていることがあると思いますが、通常担保設定契約には、該当不動産を金融機関の承諾なく処分等をした場合には、期限利益の喪失事由(ローンを一括返済しなければならなくなる)になる取り決めが入っているのが、通常です。
信託契約をすれば、委託者(元の所有者)から受託者に所有権移転をすることになりますから、処分に該当します。
信託契約を、金融機関の承諾なく行ってしまえば、契約違反になってしまう可能性はありますので、十分気をつけなければいけません。
農地
農地に関しても、信託には適さない財産といえます。
具体的には、その農地を耕作目的で信託する場合には農地法3条の許可が必要になるが受託者(農地を管理する人)が農業協同組合などの例外を除き、許可はされないので注意が必要です。(農地法3条2項3号)
なお、転用目的の場合には、そのような制限はありません。
預貯金口座
金銭に関しては、上記でも記載した通り、信託口口座を作成してそこに預けることで信託財産とするわけですが、預金口座(預貯金債権)は信託財産には適していません。
口座自体を信託財産にするとなると、委託者名義の口座(預貯金債権)を受託者に移す形になりますが、一般的には譲渡制限特約が付されているため、委託者から受託者に名義を移すことはできません。
ですので、金銭を信託財産にする場合には、信託専用の信託口口座で、契約で定めた一定額を受託者が管理していく形になります。
年金受給権
年金を受け取る権利である、年金受給権についても、信託することは困難です。
なぜなら、年金受給権は法律上、譲渡が禁止されており(国民年金法24条等)委託者から受託者へ信託財産が移転する信託契約には馴染まないためです。
そのため、年金受給権は、信託の対象にはならず、受給者本人が受け取らなければならないし、一般的には口座振込の方法により受け取ることになる。
上場株式・有価証券
上場株式や有価証券を信託しようとする場合にも、注意が必要です。
なぜかというと、そもそも家族信託(民事信託)に対応していない金融機関や証券会社が多数存在していることから、事前に信託が可能かどうかを確認する必要があります。
仮に対応している場合でも、公正証書で契約書を作成することが条件であったり、委託者兼受益者が死亡することを信託終了事由とすることが条件であったりする場合など、条件付きであるケースが多いです。
まとめ
以上が、信託財産に適さない財産についてでした。
上記の中には、信託財産には適さないが条件さえ揃えば、信託財産にできるものも含まれています。
ただしそういった財産は、前例のないケースが多いため、慎重に判断した方が良いでしょう。
また、信託の利用を検討されている方は、認知症対策など何かしら、将来への不安を感じておられて、制度の利用を検討されているのだと思います。
こういった、生前対策、認知症対策は家族信託以外にも、利用できる有用な制度はありますので、専門家などに相談して今一度、適切な制度の検討をされてみてはいかがでしょうか?
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