以前の記事で、死後事務委任契約の費用について書きました。
今日は、死後事務委任契約のトラブルについてです。
どんな時にトラブルになるのか?
死後事務委任契約は、遺言と違い法定事項(法的に効力を発生させることができる事項)があるわけではないため、当事者同士の契約内容により決まります。
よく言えば、融通が利く契約ですが、悪くいえば、しっかりと契約内容を作りこまないと、委任者(ご本人)の死後トラブルのもとになりかねません。
契約内容を詳細かつ明確に定めておくことが必要でしょう。
ご本人(委任者)の相続人と受任者のトラブル
死後事務委任契約は、生前ご本人と受任者(専門職など)が契約を結ぶわけですが、実際に事務手続きを行うのは、ご本人が死亡したあとです。
通常の委任契約だと、委任者または受任者の死亡によって終了します(民法653条1号)が、当事者の合意で委任者の死亡後でも契約は終了しないとすることもできるといわれています。(最判平4.9.22金法1358.55)
この特約によって死後事務委任契約は成立するわけですが、ご本人(委任者)の相続人が死後事務委任契約に不満を持っている場合には、解除権の行使をしてくることも考えられます(ご本人の相続人は委任者の地位を承継する【民法651条】)
相続人の解除権の行使を制限する契約内容を盛り込むこともできますが、この契約を盛り込むことについて、相続人の理解を得ることが重要です。
また死後事務委任契約をご本人と結ぶ段階から、将来相続人になる人にも理解を得て契約を結べば、ご本人の死後に相続人が解除権の行使をしてくることはないはずです。
死後事務委任契約は、任意後見契約とセットでされる契約です。
任意後見のことについても、「認知症対策そうだん窓口」で詳しく書いていますので、そちらもご覧ください。