認知症対策の一つとしてとても有用な、任意後見制度。

認知症の人の代理人となる任意後見人にはどんな権限が認められるのでしょうか?

今日は、任意後見人の権限についてです。

そもそも、任意後見契約は本人(認知症を心配している人)と任意後見人になる予定の人との間でする契約です。

任意後見は、原則的に契約内容は自由ですので、本人と任意後見人予定者との間で契約内容を定めるわけですが、例外的に定めれないこともあります。

例えば、介護などの事実行為や注射、手術、輸血などの医療同意が必要な一身専属権にあたる行為なども任意後見人には、権限はありません。

また法定後見も任意後見人と同じく、医療同意などの一身専属権にあたる行為の代理権はありません。

法定後見も任意後見も医療契約を結んだり、診察代などを支払うことはできますが、それと医療同意とは別ということです。

代理権目録で委任事項を定める

任意後見人の法定の代理権の範囲は「代理権目録」に記載されます。

任意後見契約における、法定の委任事項は自己の生活、療養看護、財産管理に関する事務の全部または一部です。

上記で示した事項だけが、代理権目録に記載されて「登記」されます。

また上記で示した、事項以外でも委任はできますし、契約書にも記載できますが、代理権目録には載りません。

事実行為は任意後見人には権限がないので代理権目録に記載できません。

不動産売却時にはご注意を

法定後見の場合には、被後見人の居住用不動産を法定後見人が売却する場合には、裁判所の許可が必要です。(民法859条の3)

任意後見の場合には特段そのような定めがありません。

法定後見の場合に、事前に裁判所の許可を得ておくことは当然大事ですが、任意後見の場合にはより注意が必要です。

任意後見契約の中で、不動産を売却する場合のご本人の希望や処分方法を具体的に定めておき、代理権目録にしっかりと反映させなければいけません。

契約内容が不明瞭で、裁判所や任意後見監督人(任意後見人をチェックする人)に問題があると判断されないように注意が必要です。

厚生労働省の任意後見制度についてのホームページはこちらです。

任意後見のことについて、さらに詳しく知りたい方は、「認知症対策そうだん窓口」で任意後見のことを詳しく書いていますので、そちらもご覧ください。