太田合同事務所では、認知症対策業務として家族信託(民事信託)の契約書作成や登記手続き、任意後見契約書作成や後見人への就任、遺言書作成や遺贈寄付先との打ち合わせ、死後事務委任契約書作成や葬儀会社などとの打ち合わせを行っております。

ご自身がまたはご家族が認知症を不安視しておられるようでしたら、法律制度を利用して、その方の財産や権利を認知症になった後でも守り、ご希望を叶えられるかもしれません。

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見守り契約ってなに?

見守り契約とは、契約当事者である高齢者などの対象者と司法書士などの法律専門職が契約を結び、定期的に連絡若しくは面談等をして、対象者の健康状態や生活状況などを把握し、文字通り見守ることです。

どの程度の頻度、どのような方法で連絡を取り合うか、会う場所はどこかなどは基本的にはすべて自由に決めることが出来ます。
あくまでも私人間での自由な契約ですので、契約内容も自由です。
また任意後見契約の場合には、公正証書化することが必須ですが、見守り契約の場合にはそのような制限もありません。

最近では、法律専門職だけでなく、日本郵便や警備会社などの民間企業でも見守りサービスというものを提供している企業が増えました。
それだけ、社会からの需要が増えているということでしょう。

弊所でも、見守り契約は取り扱っていますが、あくまでも任意後見契約に付随する契約として取り扱っているというイメージです。
というのも、司法書士などが任意後見受任者(将来後見人になる予定の人)になる場合に、定期的に対象者の健康状態等を把握することで、任意後見契約監督人の申し立て時期(※)を見計らうことができるからです。
ですので、見守り契約は任意後見契約とセットでされる契約です。

(※)任意後見契約は契約締結後、すぐに効力は生じず、対象者が認知症等で判断能力が欠如して、家庭裁判所に任意後見監督人の申し立てをしたタイミングで、初めて任意後見人が正式就任し、契約の効力が生じます。

見守り契約には主に二つの目的があります。
この目的達成のための必要な内容が盛り込まれる形になります。

見守り契約の目的

①来る任意後見契約の発効(ご本人が認知症の発症)に備えて、ご本人と信頼関係を築くこと

②任意後見契約の発効前(認知症になる前)までのご本人の心身の健康状態、生活状況の把握

具体的には、ご自宅への訪問、連絡の手段や頻度などを取り決めていきます。
またご本人の心身の健康状態、生活状況を把握することで、裁判所に対して任意後見監督人の選任申し立て(任意後見契約の発動)を適切なタイミングでするための取り決めもします。

例えば緊急連絡先として、任意後見受任者(将来後見人になる予定の人)を指定したり、入院時の手続きを任意後見受任者に依頼する取り決めをしたりします。

見守り契約の終了

見守り契約はあくまで、任意後見契約が発動する前段階の契約ですので、任意後見契約が発動したら終了しますし、ご本人が死亡したり、法定後見、保佐、補助の審判を受けたり、任意後見契約自体が解約されたら、見守り契約も連動して終了します。

任意後見受任者(将来後見人になる予定の人)がご本人と信頼関係を築くことは、任意後見契約を結んだ上で、一番初めにするべきことです。
見守り契約があることで任意後見受任者は、ご本人と何度もお話をして、ご本人のことを深く理解することで、来る任意後見契約に備えていくわけです。

見守り契約の費用

見守り契約は、専門職などの第三者に依頼することになりますので、専門職に支払う報酬が発生します。
(注)なおここで言う、見守り契約とは司法書士などの法律専門職が結ぶ見守り契約のことをいいます

逆に言えば、見守り契約は、親族が任意後見受任者になる場合には、基本的に必要のない契約です。
親族がいるのなら、その親族が見守りをすればいいだけですから、契約書の必要性はなくなります。

何度も申し上げているとおり、ここでいう見守り契約とは、任意後見契約を発動するタイミングを見計らうためのものですので、独り身の方であったり、ご家族はいるが近くで見守れる人がいないような方であれば有用な制度です。

見守り契約で発生する費用は以下の種類があります。

【契約書の作成費用】

5万円(弊所の場合)
※公正証書で作成する場合には、別途2~3万円程度費用が発生します

公正証書で作成するかどうかは、ご本人の希望によります。
見守り契約の内容はご本人のその時の状況に応じて変わりますので、契約書を変更することがあります。公正証書で作成すると、その都度、公正証書を作成し直す必要があるため、公正証書での作成はあまりお勧めできません。

【継続費用】

月額3千円~1万円(弊所の場合)
※ご本人が事務所に来訪されるケースとご自宅へ伺うケースで費用が変わります

見守り契約は、契約書を作成して、契約締結をすればそれで終わり、というわけではなく、むしろ契約を締結してからが本番です。
毎月何らかの形で対象者にお会いしたり、電話等で連絡を取って、やり取りをしますので、継続的に労力と手間がかかります。

また、任意後見の家庭裁判所への申し立て時期の見計らいの必要もありますので、ただ会って面談をしているだけではありません。

これらのことを踏まえてかかる時間や労力を考慮して費用を決定します。

見守り契約でできないこと

上記で説明してきた通り、見守り契約はあくまでも、対象者の健康状態・生活状況・認知機能などを把握したり、対象者との信頼関係構築のために行う契約です。

ですので、対象者の代わりに法律行為の代理をしたりとか、財産管理をするなどの行為はできません。(意思能力がある状態でも、財産管理を第三者に任せられる「財産管理等委任契約」という契約行為はあります)

見守り契約には、そこまでの強い拘束力や受任者に強い権限はありません。

任意後見契約や財産管理等委任契約と違い、見守り契約はあくまで当事者同士の取り決めを定めた契約にすぎず、契約内容を第三者に見せて権限行使をするようなものではないということです。

見守り契約を対象者と結んでいるからといって、代理人的な立場で様々なことが出来る訳ではありませんので、そこは間違えないように注意が必要です。

見守り契約書の雛型

ここまでで、ある程度見守り契約についてご理解いただけたかと思います。
では実際に弊所が契約で使用している、見守り契約書の雛型を掲載します。

司法書士太田合同事務所からのアドバイス

見守り契約は、それだけで何かの対策になる契約ではありませんが、任意後見契約で第三者に任意後見受任者になってもらう場合には、なくてはならない契約です。

上記でも申し上げた通り、ご家族で対象者を見守れる人がいるのであれば、そもそも必要性は低いですが、現代では様々なご事情で、家族と連絡を取り合える関係でなかったり、法定相続人にあたる人が誰もおらず見守り契約の必要性がある方はたくさんいます。

今日お話したのは、見守り契約ですが、見守り契約も認知症対策として利用できる一制度にすぎず、適切な対策になる法律制度は、人によって異なります。

弊所では、認知症対策として家族信託、遺言書作成、任意後見契約やそれに伴う見守り契約、財産管理等委任契約、死後事務委任契約などを取り扱っておりますが、ご相談いただいた方にとって最適な制度選択が出来るように丹念にご相談者様のお話を伺っておりますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

太田合同事務所では、認知症対策業務として家族信託(民事信託)の契約書作成や登記手続き、任意後見契約書作成や後見人への就任、遺言書作成や遺贈寄付先との打ち合わせ、死後事務委任契約書作成や葬儀会社などとの打ち合わせを行っております。

ご自身がまたはご家族が認知症を不安視しておられるようでしたら、法律制度を利用して、その方の財産や権利を認知症になった後でも守り、ご希望を叶えられるかもしれません。

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