以前の記事で、後見申立権者と後見人候補者について書きました。

今日は、認知症の後見人の義務についてです。

法律上の規定は?

民法上の規定だと、成年後見人はご本人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うことです。(民法858条)

そのため、後見人には代理権と取消権が認められています。
(後見人の代理権には、一定の制限はあります。)

特に取消権は、ご本人の保護につながる一方で、権利を制限することにもなります。

ご本人の自己決定の意思を尊重するためにも、行使には慎重な判断を要します。

また保佐や補助のケースであれば、同意権を使ってうまくご本人の意思決定を支援すべきです。

後見人が配慮すべきこと

成年後見人が事務手続きを行うにあたって、成年後見制度の基本理念を自覚して行うことが必要です。

成年後見制度の基本理念は・・・

「自己決定の意思尊重」

「現有能力の活用」

「ノーマライゼーション」

この3つです。ちなみにノーマライゼーションとは、「認知症高齢者や障害者などの社会的弱者を特別視せず、一般の人と同じように生きれる社会を作る」という意味です。

後見人が就いている方が一般の人と同じように生きるためには後見人が重要であることは言うまでもありません。

後見人は、ご本人の意思を尊重し、その実現を支援するという役割を常に意識しましょう。

ご本人の意思決定が困難で、後見人が代理権の行使をする際は、後見人の価値観に基づくものではなくご本人の価値観に基づくものであることが必要です。

後見制度のことについても、「認知症対策そうだん窓口」で詳しく書いていますので、そちらもご覧ください。