以前の記事で、後見監督人について書きました。

今日は、後見申立の申立権者と後見人候補者についてです。

法律上の申立権者

① 民法で定められた申立権者

成年
後見
本人、配偶者、四親等内親族、未成年後見人、
未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、
補助人、補助監督人、監察官(民7)
保佐本人、配偶者、四親等内親族、成年後見人、
成年後見監督人、補助人、補助監督人、検察官
(民11)
補助本人、配偶者、四親等内親族、成年後見人、
成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、検察官
(民15①)

② 任意後見契約が登記されているときは、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人(任意後見契約に関する法律10条2項)

③ 65歳以上の者(65歳未満の者で特に必要があると認められる場合を含む)(老人福祉法5条の4)、精神障害者又は知的障害者で特に必要がある場合には市町村長が申し立てを行うことが出来ます。(老福32、精神福祉51の11の2、知的障害28)

市町村長が申し立てするケース

・配偶者や2親等内の親族がいない(厚労省通達)

・配偶者や2親等内の親族がいても申し立てを拒否している

・配偶者や2親等内の親族がいても、本人に対する虐待や放置がある

・配偶者や2親等内の親族が戸籍上いるが連絡がつかない

*申し立てが必要な場合には、各自治体の福祉事務所や福祉課等に事情説明をし対応をしてもらう

市町村長が申し立てた後見事件の件数は、増加傾向にあり令和元年に申して立てがあった事件数は、7837件全体の22%です。
(最高裁判所事務総局家庭局のデータより)

後見人候補者について

後見人候補者は、成年後見制度が本人の権利擁護のための制度であることを理解し、財産管理、身上保護を的確に行える人でなければなりません。

それは、専門職後見人(弁護士や司法書士)であっても、市民後見人であっても変わりません。

また専門職後見人が高い倫理観を持って行うのは当然のことですが、市民後見人も同じように高い倫理観を持つべきです。

ほぼ無報酬で後見業務を行うことに難しさはあるでしょうが、だからこそ高い倫理観を持つべきです。

法人後見のメリット

後見人は個人だけでなく、法人もなることができます。

法人後見のメリットは以下のようなことがあります。

・後見人の主体が法人であるため、本人より先に後見人担当者が死亡しても後見人が欠けてしまうリスク回避ができる

・後見業務の責任を負うのはあくまで法人のため担当者個人が直接的に責任を負うことはない

後見制度のことについても、「認知症対策そうだん窓口」で詳しく書いていますので、そちらもご覧ください。