必要書類

・登記申請書
・委任状
(司法書士などの代理人に依頼する場合で会社実印を押す)

これだけです。
住民票が必要な気がしますが添付書面(法務局提出書類)にはなりません。

ただ実際には、登記申請書や司法書士に依頼する場合に利用する、委任状に住民票記載の住所変更の日付を記入する必要があるため、住民票を確認する必要があります。

費用について


・登録免許税 3万円or1万円
資本金が1億円以下の会社は1万円その他の会社は3万円です。

・司法書士報酬 1~3万円
*司法書士へ登記手続きを依頼する場合には、司法書士報酬が発生します。事務所によって報酬額は様々ですが、1~3万円のところが多いようです。

合計 3~4万円程度になる事務所が多いようです

登記期限について

ところで商業登記には会社法上、登記義務があり期限があります。
ですので、会社役員の住所が変わった場合も登記義務が法律上はあることになります。

(会社法915条1項)
会社において第九百十一条第三項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、
二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
(注)911条3項各号又は前3条各号とは、株式会社や持分会社(合同会社など)の登記事項のことです

そしてこれらは「義務」ですので、義務に違反すれば過料(罰金)があります。
それも会社法上の条文で定められています。

(会社法976条一部抜粋)
次のいずれかに該当する場合には、
百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
1 この法律の規定による登記をすることを怠ったとき。


役員の住所変更は登記事項として大きな変更があるわけではないですが、過料(登記をしなかったことによる罰金)になることは絶対にないとは言えませんので、住所変更した際はしっかり登記手続きをすることをおすすめします。

住所非開示の法改正について

会社役員の住所非開示に関する法改正ついて、令和5年12月26日に、法務省から商業登記規則の改正案についての発表がありました。
パブリックコメントの募集(一般の方からの新しい法律についての意見募集)が令和6年1月25日まで行われます。

改正案の主な概要

1 一定の要件で、株式会社の代表取締役、代表執行役、代表清算人の住所を登記事項証明書及び登記事項要約書において一部表示しない措置を講ずることができる改正を行う。

2 登記情報提供サービスにおいても同様の措置を講ずることととする改正を行う。
(注)登記情報提供サービスとは、インターネット上で会社や不動産の登記簿を閲覧できるサービスです

3 新しい法律の施行時期は、令和6年6月3日を予定

一定の要件については、住所が公開される当事者がDVやストーカー、付きまといなどの被害に遭う可能性がある又は遭った方で、市役所などの公的機関が発行した書面や資格者代理人(司法書士など)が発行した書面が必要になってきます。

申出書について

上記が実際に申出をする際に使用する、申出書の雛型と記載例になります。
申出人が代表を務める会社本店を管轄する法務局に申出をしていきます。

非表示を希望する理由やそれを証明する書類が必要になることがわかると思います。

申出後の登記簿記載

申出が無事完了すると、登記簿上ではどのような表記がされるのでしょうか?
下記でその記載例を載せています。

住所変更登記と同時に住所非表示の申出をした場合

会社設立と同時に住所非表示の申出をした場合

役員変更登記と同時に住所非表示の申出をした場合

司法書士太田合同事務所からのアドバイス

会社役員の住所変更登記自体は、必要書類もさほど多くありませんし、費用も大きくかかりませんので、比較的簡易な手続きだと思います。

ただし、会社登記全般に言えることですが、法律上の登記義務があることは確かですので、登記をせずに放置したままというのは、好ましい状態ではありませんので、住所の変更があった場合には、マメに登記することが大切です。

また、法改正によって会社代表者の方でも条件が揃えば、登記簿上、住所非表示が出来るようになりました。
誰でも利用が認められる制度ではありませんし、必要書類が揃わなければ利用はできませんが、個人情報保護が当たり前の昨今では、需要が増えてくる制度だとは思います。
SNSが普及して誰でも情報拡散が可能になった現代で、会社代表者だからと言って、住所が登記上で公開されるのというのは、非常に危険なことでしょう。


付きまといなどの不安があり、制度を利用したいという方は、制度自体がこれからのものですので、お近くの法務局や司法書士に相談することをお勧めします。