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必要書類
役員変更登記の必要書類は、会社の機関設計(取締役会の有無、監査役の有無、株式の譲渡制限の有無など)によって必要書類が変わります。
そこでこの記事では、日本で最も多いであろう会社(株式譲渡制限会社、取締役会非設置、監査役非設置)のケースとしてお話しします。
株式会社の役員は、定款の定めによりますが、最長10年で任期満了となります。
役員変更する際は、登記手続きが必要になるのですがその際の添付書類についてです。
一つ目のケースとして、同じ方がそのまま継続して取締役や監査役をする場合を重任といいます。
重任登記の必要書類
・株主総会議事録
・株主リスト
・役員の就任承諾書
・取締役の決定書
※ケースによっては取締役の方の印鑑証明書、定款が必要になることもあり
同じ会社の形態でも、その会社の定款の定めによって登記必要書類が変わるため一概にこれです!と断言出来ないところが難しいところなんですが、概ね上記の書類が必要になります。
辞任と新規就任の登記必要書類
辞任の必要書類
・辞任届
*法務局へ印鑑を提出している取締役が辞任する場合には、届出印を押すかその方の個人実印を押し、印鑑証明書を添付する必要があります。
辞任届は、文字通り辞任される方の辞任の意思を書面におこしたものです。
※の場合には印鑑の指定がありますのでご注意を。
新規就任の必要書類
・株主総会議事録
※株主総会議事録は、役員の方を選任した内容のものが必要になります。
・株主リスト
※株主リストとは現状の株主の住所氏名、持株数などを記載したものです。
・各役員の方の就任承諾書
・各役員の方の印鑑証明書
※印鑑証明書は本人確認書類として必要になります。
・取締役会議事録or取締役の決定書(代表取締役の選任した場合)
※取締役の決定書(取締役会議事録)は代表取締役の選任をした内容のものが必要になります。代表取締役を選任しない場合には、取締役全員が代表者になります。
また各議事録や就任承諾書に押す印鑑も指定がありますので、その話はまた別の記事で解説します。
このような辞任、新規就任の場合は、既存の役員の方が継続される場合よりも書類が多く煩雑です。
このケースであれば司法書士に依頼した方が良いかなと思います。
費用の種類
会社役員変更登記でかかる費用には主に3つの費用があります。
費用の内訳
・登録免許税
登録免許税は、登記申請で原則的にかかる費用です。
役員変更の場合には、会社の資本金が1億円以下かその他かにより変わります。資本金が1億円以下であれば、1万円です。その他の場合には、3万円になります。
・印鑑証明書の取得費用
新たに役員が就任する場合には、本人確認証明書等として印鑑証明書が必要になります。費用は自治体によりますが200~300円程度です。市役所などで取得します。
・司法書士報酬
登記手続きを司法書士に依頼する場合には、司法書士報酬がかかります。報酬額は、事務所によりますが、おおむね3万円前後です。
自分で登記手続きをすれば司法書士報酬はかかりません。
合計額は?
上記の3つを合計すると、司法書士へ依頼した場合には約6万円弱。
ご自分で登記手続きをすれば、約1万円弱になります。
登記期限と罰則
登記期限
役員変更登記だけにとどまりませんが、会社法人登記には期限があります。
会社法では以下のように定められています。
会社法 第915条 会社において第九百十一条第三項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
(参照 e-GOV法令検索)
2 前項の規定にかかわらず、第百九十九条第一項第四号の期間を定めた場合における株式の発行による変更の登記は、当該期間の末日現在により、当該末日から二週間以内にすれば足りる。
3 第一項の規定にかかわらず、次に掲げる事由による変更の登記は、毎月末日現在により、当該末日から二週間以内にすれば足りる。
一 新株予約権の行使
二 第百六十六条第一項の規定による請求(株式の内容として第百七条第二項第二号ハ若しくはニ又は第百八条第二項第五号ロに掲げる事項についての定めがある場合に限る。)
ちなみに、1項で指定している「911条第3項各号又は前3条各号」とは、株式会社・合同会社・合名会社・合資会社の登記事項(登記簿に記載される事項)のことを指しています。
条文では変更が生じた時から2週間以内に登記手続きをしなければならない、となっているわけです。
罰則
「しなければならない」という表現からすると、仮にこの規定を守れなかった場合には、何かしらの罰則がありそうです。
会社法でその罰則についても定められています。
会社法 976条(一部抜粋)
(参照 e-GOV法令検索)
次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 この法律の規定による登記をすることを怠ったとき。
会社法915条の期間内に登記手続きを行わなかった場合には「登記することを怠ったとき」該当します。
では厳密に、全ての登記手続きがその対象になるのかというと、実態としては、そんなことはありません。
法律上は、あくまでも登記事項に変更が生じたら、登記しなければならないとなっており、それに違反した場合には、100万円以下の過料という規定になってはいますが、全てのケースにおいて過料が科されるということはありません。
例えば、10年近く役員変更登記を放置するような形になってしまっているときは、過料になってしまう危険性が高いと思います。
逆に役員の住所変更登記を長期間放置するような形でも過料になる危険性は低いのかなと思います。(あくまでも一司法書士の意見で、最終的な判断は法務局や裁判所がしますので、絶対ということではないです)
司法書士太田合同事務所からのアドバイス
会社役員の変更登記は、様々なケースがあるため、ここでご説明した内容は一部にすぎません。
株式会社でも取締役会が設置されている会社とそうでない会社で添付書類が異なったり、定款の定めは会社によって様々ですので、その定めによって登記内容や添付書類が変わってきます。
費用に関してもここで記載したのは、あくまでも一般的なケースのお話ですので、会社規模や定款の内容、行う登記によって多少変わってきますので、ご注意ください。
会社登記をご依頼するとなると、司法書士へ手続きを依頼される方もいると思いますが、司法書士事務所も自由報酬制ですので、事務所によって費用は変わるでしょう。
ですので、信頼のできる司法書士へご依頼することをお勧めします。
会社登記については、上記で記載したとおり、期限がありますので、罰則のリスクを避けるためにも、こまめに登記することをお勧めします。