太田合同事務所では、認知症対策・生前対策として遺言書作成、任意後見契約、財産管理契約、家族信託などのご提案をしています。
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認知症対策

以前の記事で、財産管理等委任契約について書きました。

今日は、財産管理等委任契約をした際の、銀行での手続きの注意点についての話です。

以前の記事でも書きましたが、財産管理等委任契約では、銀行手続きとして、預金の管理、払い戻し、預入、振り込み依頼などを委任内容に出来ます。

実際にご本人の代わりに銀行で手続きをする際の注意点として下記のようなことがあります。

注意点

①正式契約の前に利用する金融機関を決めておき事前に、打ち合わせをしておく

そもそも契約書を作成して、正式に契約をする前に、金融機関に財産管理等委任契約で代理人が口座管理することが可能なのかを確認しましょう。
代理人(受任者)が親族であっても、法律専門職であっても、そもそも財産管理等委任契約のような任意の契約書では、代理人としての立場を認めてくれない金融機関が多いです。

(注)任意後見契約に付随する財産管理等委任契約(移行型の任意後見契約)であっても、契約書が公正証書であっても、認めてくれない金融機関が多いです

弊所がある、愛知県豊橋市では信用金庫さんが多いのですが、信用金庫さんは軒並み取り扱い出来ないという返答でした。
また地方銀行なども点在しており、確認したのですが、信用金庫さんと同じく、取り扱い出来ないという返答でした。
唯一、寛容な姿勢を見せてくれたのは、いわゆるメガバンクさんでした。

(注)すべての金融機関店舗に確認した訳ではないですし、都心部の場合や豊橋市よりも人口の少ない街など別の市の金融機関がどのような取り扱いをしているかは、わかりません。

いずれにしろ、財産管理等委任契約の受任者は、法定後見人や正式就任後の任意後見人などのように、公的に、代理人としての立場を認められるわけではないため、せっかく公正証書で契約書を作成したのに、代理人としては認めず、口座管理が出来ないといった事態にならないように、利用する金融機関と事前に入念な打ち合わせをしましょう。

②口座開設で銀行に行く際は、契約書を作成した専門家に同行してもらった方が良い

これも①に注意していれば、特に問題ありません。
事前打ち合わせが必須ということになります。
打ち合わせを事前に済ませておけば、当日の手続きは円滑に進みます。

公正証書で作成するケースが多いと思いますので、公証役場での手続きが終わった足でそのまま行けば、2度手間にならずに済みます。

③金融機関によっては、金融機関独自の「代理人制度」の利用を促してくる

三菱UFJ銀行だと「予約型代理人」、三井住友銀行だと「代理人指名手続き」、みずほ銀行だと「代理人カード」という名称のようです。
三井住友銀行とみずほ銀行だと、代理人カードが発行されます。

(注)基本的に代理人制度は、親族が代理人になる場合を想定していますので、親族(金融機関ごとに2親等内だったり、生計を共にするなどの要件あり)以外の方が代理人になろうとする場合には、この制度を利用することは難しいでしょう。

この代理人制度に関しては、金融機関側独自の制度なので、利用する予定の店舗に問い合わせて相談・打ち合わせをするのがいいでしょう。

④財産管理等委任契約書は原則的に、公正証書で作成する

財産管理等委任契約書は、あくまでも当事者同士での契約に過ぎないため、公正証書で作成しないと、第三者の認証(証明)がありません。
公正証書で作成するということは、公文書になるということです。

公正証書で作成していないと、銀行での手続きが出来ないという意味ではありませんが、金融機関側が受ける印象やトラブル(紛争等)になった時の保険の意味合いで公正証書化することをお勧めします。

民事の紛争になった場合に適用される、民事訴訟法にはこんな規定があります。

(民訴228Ⅱ)
公文書は、その方式および趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立したものと推定される

そもそも公正証書とは以下のような書類です。

公正証書とは、私人(個人又は会社その他の法人)からの依頼により、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことです。
公文書は、文書の成立について真正であるとの強い推定(形式的証明力)が働きます。公証人が当事者の依頼により作成した文書には、公正の効力が生じ、反証(その証拠を否定するような事柄)のない限り、完全な証拠力を有しております。

このように公正証書は、紛争(裁判)などの際には強力な証拠力を有しております。

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財産管理等委任契約は、移行型の任意後見契約に付随して結ばれるケースが多い契約です。
任意後見契約に関する説明は、こちらの記事で確認できます。

厚生労働省の任意後見制度についてのホームページはこちらです。