信託とは、契約などにより、特定の人が契約で定めた、目的に従い、財産の管理や処分をその目的達成のために、必要な行為をすることをいいます。

さてこの信託においてリスクとなりうることには、何があるのでしょうか?

民事信託のリスク

・信託契約の内容に沿わない管理処分は、その行為自体が無効になる可能性がある

契約信託をした場合に信託の効力を有効なものにするには信託財産をきちんと受託者に移すことはもちろん、契約内容の定めに従って管理処分する必要があります。

実際に平成23年4月27日の名古屋高等裁判所金沢支部の判決で信託契約が上記理由で無効になったものがあります。

・他益信託の場合に贈与税等が発生する可能性がある

委託者(財産を託す人)と受益者(信託財産から生じた利益を受け取れる人)が別の人の信託を他益信託といいます。

他益信託だと、信託をした際に利益が移転したと考えれ、贈与税等が課税される恐れがあるため、税理士さんにご相談した方がいいです。

・信託目的が不明確だとトラブルの原因になる

信託の目的には、受託者(財産を管理する人)の行為指針になるとともに、信託を存続させるか終了させるかの判断基準になるため、とても重要です。

また金融機関や利害関係人にも影響してきますので、明確に定めておく必要があります。

・遺言代用信託によって受託者が財産を独り占めする可能性がある

東京地裁・平成30年10月23日判決では、信託後に父と息子がトラブルになり信託の終了を父側が主張して裁判になったケースです。

この裁判では、信託契約の内容に受託者(息子)との合意によって契約が終了するという、決まりがあったため、信託の終了が認められないという結果になってしまいました。

今日は、民事信託について解説しましたが、認知症対策には他にも方法がありあります。

「認知症対策そうだん窓口」で詳しく書いていますので、そちらもご覧ください。